脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎とは頭や顔、首、陰部など皮脂が多い部位に発赤や皮剥けが出現する病気です。 原因としては正常皮膚に存在するマラセチア(カビの一種)の関与や皮脂分泌と発汗のバランス崩壊、ビタミンB群の欠乏、ストレスや温度・湿度の関与、糖尿病や高血圧症・肝機能異常の合併などが報告されています。 新生児期〜乳児期早期にみられる乳児期脂漏性皮膚炎と、思春期以降に生じる成人期脂漏性皮膚炎に分けられます。

症 状

※写真は最新皮膚科学体系より抜粋 乳児期では生後2〜4週頃から髪の生え際や眉毛、おでこや鼻周りなどに発赤や皮剥け、黄色のかさぶたが出現します。通常痒みは軽度で、多くは生後8〜12ヶ月で改善します。 成人では頭のフケが増えたり、眉毛や鼻・耳周りの発赤や皮剥けが出たりします。 左右対称性に出ることが多く、徐々に拡大する場合もあります。痒みはあっても軽度です。

脂漏性皮膚炎(1)

脂漏性皮膚炎(2)

検 査

脂漏性皮膚炎に対する特別な検査はありませんが、他の疾患の可能性を除外するために顕微鏡による真菌検査やパッチテスト、皮膚の一部を採取する検査などを行う場合があります。

治 療

乳児期脂漏性皮膚炎

乳児期脂漏性皮膚炎

乳児の場合は基本的に一過性であり、1〜2ヶ月ほどで自然軽快します。 炎症が軽度の場合は入浴30分前にオリーブ油を用いてかさぶたを柔らかくし、入浴時に少しずつ除去してもらいます。 炎症や痒みが強い場合はステロイド剤(ロコイド軟膏®など)を短期間塗ってもらいます。

成人期脂漏性皮膚炎

成人期脂漏性皮膚炎

成人の場合は比較的薬が効きやすいのですが、基本的に慢性に経過することが多いため、長期にわたり治療を継続する必要があります。 炎症が軽度の場合は抗真菌剤(ニゾラールクリーム®など)を塗ってもらいます。 炎症が強い場合はステロイド剤(ロコイド軟膏®など)も一緒に塗ってもらいます。 日常生活においては余分な皮脂を除くために洗髪や洗顔を徹底してもらいます。

保湿、原因除去

保湿、原因除去

過度な手洗いがある場合はやめて頂き、家事や水仕事の際には手袋や保湿クリームを使用して頂きます。 また、原因物質が明らかな場合は可能な限り接触しないようにしていただきます。