粉瘤

粉瘤(アテローマ)とは

粉瘤とは皮膚の下に袋状の腫瘍ができる皮膚の良性腫瘍です。 袋の中には垢のような角質成分が入っており、年単位の時間をかけてゆっくりと大きくなることがあります。 また細菌感染を伴うと急激に大きくなったかのように腫れることがあります。 頭や首、背中、腰の皮膚に発生することが多いです。 外傷や一部のヘルペスウイルスの感染が原因になることがあります。

症 状

ドーム状に盛り上がった1~数cm程度(時に10cm以上)の大きさの軟らかいしこりが現れます。
痛みや痒み、赤みはありませんが、細菌感染を伴った場合は強い赤みや腫れ、痛みが出現し、時に膿がでます。
しこりを切ったり、細菌感染で破れたりすると中から白色のラードのような物質が出てきて、悪臭があります。

粉瘤(1)

粉瘤(2)

※写真は最新皮膚科学体系より抜粋

検 査

切開のみ希望される方の場合は基本的に検査はありません。 切除手術を希望される方は術前に採血検査が必要になります。 細菌感染を伴い膿が出ている方には、膿の細菌検査を行います。
しこりのサイズが大きく、切除手術を希望する方の場合は総合病院へ紹介の上、 CTやMRI検査が必要になることがあります。

治 療

保存的治療

保存的治療

良性腫瘍ですのでしこりはあっても無症状の方の場合は経過観察でも基本的に問題ありません。 自然に消えることはなく、そのままの大きさで残るか、数年~十数年かけてゆっくり大きくなる方もいます。
細菌感染を伴い、痛みや腫れが強い方に対しては抗生剤の飲み薬(ケフレックス®、フロモックス®など)や 塗り薬(ゲンタシン軟膏®、アクアチムクリーム®など)を使います。
痛みや腫れが強い方の場合は上記とあわせて20分程度抗生剤の点滴(ロセフィン®)を行います。

切開処置

切開処置

痛み止めの注射(局所麻酔)後、 皮膚の下でしこりになっている袋を1~2cm程度切開し内容物と膿を絞り出します。
切った傷は縫わず、細菌感染が改善し内容物が出て行くと自然に塞がります。 (糖尿病などの持病がある方の場合は傷が塞がるのに時間がかかることがあります。)
しこりの元である袋を取り除くのではないため、切開後数年~十数年をかけて袋に内容物が溜まり、 再びしこりになります。そのため、あくまで対症療法となります。
切開後は上記の保存的治療を併用して治療します。
処置料金:約2000円(税別) (健康保険適応、3割負担の場合)+診察料、処方料、薬剤料

切除手術

切除手術

(手術になりますので、診察後に改めて手術日を予約して頂きます。)
しこりの周囲に広く痛み止めの注射をした後、皮膚を切って袋を取り出す根治治療です。
切った傷は洗浄後に縫います。手術数日後に傷の確認をさせて頂き、抜糸は7~10日後に行います。
取った袋は顕微鏡検査(病理検査)を行い、良性であることを確認し、後日結果説明致します。
抜糸までは激しい運動や入浴(シャワー浴は可能です)は控えて頂きます。
しこりのサイズが大きい場合は当院での手術が難しいため、総合病院皮膚科へご紹介となります。
手術料金:約12000円(健康保険適応、3割負担の場合) +診察料、処方料、薬剤料

※ケロイド体質や局所麻酔薬のアレルギー、
重症の内科疾患がある場合は 切開処置や切除手術ができない場合があります。